へた釣り家の先祖代々のお墓は大阪にあるので、毎年お盆はお墓参り&大阪近郊の温泉地へ小旅行。お盆だから殺生はやめようと、釣りはしない方針だったのだが、釣り中毒なので週末に竿を握らないと禁断症状が…。釣り掘までは我慢できたが、有馬名物ます池の看板で限界w
釣りが好きな人にありがちな性質だが、へた釣りもせっかちである。行列に並んで飯を食うという気は全くなく、以前、某人気店で家族に行ったときに行列の長さにうんざりして、「配給制じゃあるまいし、並んで飯を食うなんて共産主義国家以外じゃありえない!」と別の店に入って(しかもその店が不味くって)、妻、子供1号&2号に激しく非難されたこともある。そんなせっかちが唯一並んででも食う店が通天閣下の串カツ屋「だるま」。
通天閣界隈には、串カツ屋はそれこそ腐るほどあるのだが、お墓参り帰りに食う年に一度の串カツはこの店でなくてはならないのである。衣のフワサク感がたまらないのと、小うるさいと感じるくらいあちらこちらに書かれている「ソース二度づけ禁止」&「串カツを食うマナー」の但し書きが面白い。二度づけしても怒られたり店から追い出されたりすることはないのだが、通天閣界隈の立ち飲み屋が発祥と思われる「串カツマナー」は、洋食のテーブルマナーなんかより、ずっと理にかなっている。
にしても、通天閣のある新世界は、随分と健全な街になった。20年前くらいまではよほどの物好き(へた釣りはその一人であった)でもない限り近づかない街だった。3本立てで1000円の映画館でホモの痴漢に注意しながら暇を潰し、ストリップ小屋では本番したさに目を血走らせてじゃんけん。ブー麻雀で小銭の奪い合いに精を出し、将棋・囲碁だってお金を賭けてが基本。財布が空になったら近くの公園で地べたに座ってよく分からない芸人さんたちのショーを眺める。そんなカオスで電波ゆんゆんな街の名残を感じたのは、観光バスだけだった。
お墓参りの翌日は有馬温泉へ。大阪市内から気軽に行けて、金泉、銀泉といういかにも効能がありそうな2種類の温泉に入れる温泉街だ。街の中央には川が流れており、一昨年川遊びをしたときには、小さなハヤやカジカを網ですくって遊んだ。上流にマスの養殖池があり、そこから逃げてきたニジマスが泳いでいたりもするらしい。釣りはしないと決めてきたのだが……川のせせらぎを聞いているうちにお魚と戯れたいという欲求がむくむく。
温泉旅行と言っても子供連れだと、温泉に浸かってのんびりというわけにはいかない。六甲山頂にある公園へ遊びに行くと、釣り掘を発見。コイやフナが釣れるようなのだが……食えない魚は釣らないがポリシーなので、ここは何とか我慢。公園からの帰り道。ロープウェイの駅の近くで「有馬ます池」なる看板を見つけたと同時に釣りを我慢するのは限界だった。「まだホテルに帰るには早すぎるよね」と、家族の同意を得る前に足は看板の指し示す矢印の方向へと歩み出している。
「有馬名物 にじますつり」……これを名物にしたらあかんでしょ!という感じのしょぼい釣り掘だった。20メートル四方ほどの池に10~15センチのニジマスが大量に放たれている。練り餌を針につけて放り込むと、ゴンズイ玉のようにニジマスが針に群がり、1秒後には釣れているというお手軽さ。1匹だけ釣って、釣りの禁断症状を解消したら、竿を子供1号&2号に渡して見学。コツはウキ下のハリスが張るようにちょっと振り込んでからハリスの長さ分手前に引いてくることなんだけど、そんなことしなくても釣れるから子供たちは楽しんでいたようだ。たぶん二度と行かないw
3日分の記事なので普段から長い記事がさらに長くなっている。有馬名物の釣りはしょぼかったが、そのほかの有馬名物は温泉を含め美味しかったり楽しかったりするものが多い。まずは手焼きの炭酸せんべい。三津森本舗というお店で目の前で焼いているのを見ることができる。焼く工程は型に流して鉄板でジュ~というだけなのだが、その横に控えているのが、プラモデルでいうところのバリを取る人。1枚1枚丁寧に手作業で炭酸せんべいを丸い形に整えていく。1日に6000枚くらい炭酸せんべいのバリを取り続けるんだそうだ。
有馬名物のB級グルメといえば、ありまサイダー てつぽう水。明治41年に日本初のサイダーとして売り出され、三ツ矢サイダーの前身となった飲料を復刻したという由緒正しき清涼飲料なのでB級グルメ呼ばわりすると怒られそうではある。炭酸がきつすぎて子供1号&2号では1本飲みきれない。一般に流通させるとおそらく人気は出ないであろう「ゲップ」多発飲料。不思議なことに湯上がりに飲むと刺激が心地よい。ビンからラッパ飲みすると炭酸がきついのでコップに注いでから飲むのがオススメだ。1本250円と、コストパフォーマンスは悪いけど……買っちゃうんだよなぁ~~♪
最後に紹介する有馬名物が山椒。川上商店というお店で、花山椒、葉山椒、実山椒の佃煮と、山椒入りの醤油などを大量に買い込む。さらに陶泉 御所坊という宿で山椒を使ったハリハリ漬けを分けてもらう(200g450円。自家製のため在庫量によっては売ってもらえないこともあり)。山椒なんてウナギのかば焼きにかけるか、麻婆豆腐に使うか、赤出しにパラリと散らすかくらいしか調味料としては使い道がないと思っていたが、山椒を脇役にではなく、主役にするとこれがなかなか美味で、中毒性のある食い物になる。
著者: へた釣り