へた釣りは子供のころから乗り物酔いが酷かった。遠足のバスで「乗り物酔いする人は前の方に乗ってね」なゲロ袋持参の人だった。それが毎週、毎週釣り船には乗れるようになった。乗れるどころかほかの人が敬遠するような、ウネリ2メートル以上でもなんとか1日釣りができるのだ。
乗り物酔いは、三半規管や前庭器の耳石器が船の揺れなどの予想外の動きに混乱して自律神経が失調することによって起こる。頭痛がしたり、吐き気がしたり、下痢したりと症状が人によってマチマチなのは自律神経の失調なので、体のどこに変調をきたすかは分からないってこと。「予想外の動きに混乱」ってことが実は重要で、車を運転する人は乗り物酔いをしない。自分が次にどうハンドルを切って、体はどの方向に傾くってことを知っているので乗り物酔いをしないのである。すべての人に当てはまるかどうかは自信はないがへた釣りが実践している船酔い回避の5つ方法(効果の保証はしないけどw)。
予想外の動きが続くと自律神経が失調をきたすわけで、船の揺れを想定内の動きにしちゃえばいいわけである。「今日は揺れそう」って日には、釣り場に着くまでの移動中から舳先を眺めて船の動きを「次は昇る、下がる」とブツブツ呟いてみる。釣ってる最中に、船酔いするかもってときは、竿を置いて舳先を眺めて、船の動きを想定内にしながら休憩する。5分くらいこれをすると随分楽になるから不思議だ。
へた釣りの場合、船酔いは胃のムカつきから始まることが多い。吐いちゃえば楽になるという話も聞くが、胃液を食道に逆流させるのがどうにも嫌。胃がムカついたらランチパックを食べる。食パンの間に何かが挟まったサンドウィッチなのだが、量も多くないし、小分けにして食べるのに最適だ。カレーパンのように油で揚げたパンや焼きそばパンのように喉に詰まりそうなパンは胃のムカつきを加速させるので避けた方がよい。
少しだけ食事をすると、胃のムカつきはいくぶん収まるものだが、さらに状態を回復させたいときには、キンキンに冷えたお茶。ペットボトルに冷凍した麦茶を持っていき、クーラーに入れたり出したりしながらほぼ0度に冷えたお茶を準備しておく。これを飲むと、胃がびっくりして正気を取り戻すらしく吐き気がおさまる。さらにお口すっきり系ののど飴を舐めれば、胃のムカつきはかなり軽減できる。逆にタバコは胃のムカつきを増加させるので、吸いたくなっても我慢する。タバコに関しては周りで船酔いしてそうな人がいたら控えるのも愛煙家の心配り。
船酔いでダウンするかもと不安になったら、いつマグロ化しても悔いが残らないように、いつも以上に気合を入れて釣ってみる。「10分だけ頑張ってみよう」と思って釣っていると、よくしたものでその10分間で魚が釣れるものである。船酔いの特効薬は魚信! 1匹魚を手にしたら不思議と船酔いの症状は緩和されているはず。もう一度気持ち悪くなってきたら、もう10分だけ頑張ってみよう。
酔い止め薬は、ポード内服液が体質によく合っているらしく、眠くならないので具合がよい。船に乗る1時間前に1本飲んでいるのだが、乗船後に船酔いするかもというときにもう1本追加しても効くことが多い。あと10分頑張っても魚信がなかったときは、ポード内服液をもう1本。2本目は効きが早いので、飲んだら舳先を眺めて少し休憩すれば、船酔いが収まっているはず。
船酔い防止の解決作の基本は、「荒れる日は船に乗らない」「揺れもオイルの臭いも少ない胴の間に座る」「前日の暴飲暴食、寝不足を避ける」「朝ご飯は腹八分目にちゃんと摂る」「キャビンに入らない」「手元ばかり見ずになるべく遠くを見る」など。どうして船酔い回避法を書いたかというと……閃迅カワハギ7戦目で久々に船酔いをしかけたから。胃がムカムカしてかなり辛かったけど、5つの回避法でなんとか釣り切った。
著者: へた釣り