東京湾口でシャチの群れが見つかったと話題になっている。体長6メートル前後になるイルカの仲間で、Killer Whaleなんて物騒な英名を持つ。付近を航行する船舶に衝突注意が呼びかけられている。釣り船に衝突すると…金沢八景・一之瀬丸は撮影可能な距離でシャチと遭遇したそうだ。
シャチの群れは、知床のホエールウォッチング船ではちょうどこの時期に見ることができる。アイヌ民族はシャチを「レプンカムイ(沖の神様)」と呼び、豊漁をもたらす神と位置付けていたらしい。シャチは浅瀬に餌となるクジラや海獣を追い込み捕食する習性があり、そのとき魚も一緒に追い込んでくれるので、漁を助けてくれる神様だったようだ。知床のイメージがあるので、シャチは寒い海にいるもんだと思っていたら、突然の東京湾への闖入。シャチの生息域は思っていたよりずっと広く、クジラやイルカで有名な和歌山県太地町では捕獲されたこともあるらしい。
もう少し調べてみると、シャチには小型のクジラや海獣を主に食するグループと、大型の魚を食するグループがあり、遺伝子が異なるようなので別種。とすると、知床で見ることができるのは前者で、黒潮とともに魚を追いかけ移動しているのは後者ってことか? 東京湾に現れたのはフィッシュイーターの後者の可能性が高いのかな? 鴨川シーワールドなどで飼育されているシャチはどっちの種類だろう? 芸を成功させたあとにもらっていたご褒美は魚だったような気がする。
さらに調べて行くと、明治時代くらいまでは東京湾には普通にシャチがいたという情報も見つかる。久里浜の沖にあるアシカ島。現在では渡船で渡ることができ、クロダイのポイントなのだが、アシカという名の由来はまさに海獣のアシカ。明治の中ごろまではニホンアシカがこの島の近辺に生息し繁殖地にしていたようである。そんなニホンアシカを狙ってシャチが久里浜沖までやってきていたというのであるから、生息域という点では東京湾口にシャチがいても何の不思議もないってこと?
著者: へた釣り