高知で魚といえばカツオのたたきなわけで、これに関しては注文しなくても観光客が食卓につけば必ず出てくる。焼き方で味が随分と違うものだなと驚いたが、今日の主役はカツオではない。高知で食べたカツオ以外の珍しい魚のお話。オキギス、どろめ、ウツボ、一部の名前は酔って失念。
1日目に泊まった三翠園というホテルの皿鉢料理。たっぷりのカツオのたたきとブリやマダイ。大きな箱のホテルなので手堅く美味しい物が盛られていたが、秀逸だったのが「のれそれ」というアナゴの稚魚。のれそれは東京の居酒屋でもときどきお目にかかるが全くの別物だった。少し大きめのアナゴの稚魚がつるりと喉を通るときの食感が楽しい。小鍋はウツボだった。皮際のゼラチンが茹でるとプリプリとした食感になり絶品。自分で釣った物を料理しようとは思わない(針を外すのが怖い)が身に癖はなく鍋の具に適した魚だと思う。魚ではないがフルーツトマトという小ぶりのトマトの美味さにもビックリした。
2日目は臨水という料亭旅館に泊まった。こちらは高知らしい、高知でしか食べられない料理を食べさせてくれる。皿鉢料理も三翠園の物とは全くの別物で筍を煮た物や貝を味噌味で焼いた物、セリの炊いた物など大皿に高知名物で作ったお惣菜がぎっしりと盛られていた。クジラのコロが入った小鍋も美味しかったが、抹茶色のタレでいただくどろめ(イワシの稚魚)が珍しくもあり食感が楽しくもあり最高だった。どろめは味噌汁に入れた物も食べたが海の香りが口の中で広がりうっとりできるお味。
臨水は朝食も面白かった。朝から土佐赤牛+土佐ジローという地鶏の卵のすき焼きである。当然美味かった。魚はお刺身と干物が出た。お刺身はサーモンだけは分かるが残りの2種(3種?)は正体不明。名前を教えててもらったが、聞きなれない名前だったので忘れてしまった。干物は3種類。オキギスと言われた二ギスの丸干し、高知ではニロギと呼ばれているオキヒイラギ、メヒカリの名で流通しているアオメエソの3種類。オキギスもニロギも身を味わうというより頭や骨まで含めた野趣を味わう。メヒカリは身にしっかり味がある。
著者: へた釣り