東京湾のマダコの絶好調が続いている。頻繁に通っている達人さんは毎回定数の30を持ち帰っており、いくら冷凍保存が効くとはいえ、いったい何年分のマダコを釣っとんねんとツッコミたくなる。「夏蛸嫁に食わすな」という諺があることを知る。まさに今、マダコは旬を迎えているようだ。
嫁に食わせてはいけないとされているもの、秋ナスが有名である。「秋ナスは美味しいので嫁に食べさせるのはもったいない」という解釈が一般的だ。同様に、美味しすぎてもったいないから嫁に食わすなとされているのが「夏蛸」である。「夏蛸嫁に食わすな」という諺がある。「土用のタコは親にも食わすな」という嫁視点の諺もあるので、美味しい夏のタコを巡って、嫁と姑による争奪戦が少なくとも100年以上前から繰り広げられてきたと考えると微笑ましい。
ただし、この嫁姑の争いは圧倒的に姑が優勢であるらしく。タコに関しては「嫁に食わすな」、「親にも食わすな」と応酬があるものの、ほかに諺として残っているものは「嫁に食わすな」というものばかり。嫁に食わしてはもったいないとされている物を挙げていくと、魚では「秋カマス」「秋鯖」「秋タナゴ」「二月のそうはち」、魚以外でも「五月蕨」「秋蕗」などがある。いずれも旬の食べ物だ。
逆に嫁に食わせろとされているのが「鯒の頭」。これには解釈が2通りあり、鯒のホホ肉は美味しいからかわいい嫁に食べさせようという優しい姑説と、鯒の頭なんて食べるとこがないから嫁に与えておけという意地悪姑説がある。優しい姑の言葉が諺として残るとは考えにくいので、意地悪姑説の解釈が正しい気がする。「鯒の頭には姑の知らぬ身がある」という嫁視点の諺もあるしね。鯒に関しては嫁の勝ち!!
著者: へた釣り